Home > 投資助言・代理業/IFA開業コラム > 投資助言・代理業登録に関してよくあるご質問

Q1.投資助言・代理業の登録に必要な人的要件を教えてください。

A1.行おうとする業態によりますが、代表者、分析・助言担当者、コンプライアンス担当者、内部監査担当者が必要だとされています。
 「上記の人的構成だと4人必要なの?」と思われるかも知れませんが、代表者と分析・助言担当者が同一人物であってもよいですし、業態によっては、2人でも登録が認められるケースもあるようです。
 ただし、注意しなければいけないことは、金融商品取引業者又は登録金融機関に勤務経験のある方が2名以上いない場合は、一般的に登録を受けることはできないという点です。
 実際に投資助言・代理業に登録する場合は、行おうとする業態と登録者の経験・業務知識を踏まえて審査官が事例ごとに判断することになります。

Q2.投資助言・代理業に登録する際の職務経験の要件を教えてください。

A2.以下では、代表者、分析・助言担当者、コンプライアンス担当者、内部監査担当者について登録する際の個別に職務経験の要件を見ていきます。

○経営者
 経営者には、経営能力や資質、コンプライアンスやリスク管理に関する知識や経験が求められます。
 また、登録の際には、以下の職務経験や能力が求められます。
①金融商品取引業者の役員としての経験。経験年数は、最低3年程。合算でも可です。
②金融商品取引業者の役員ではないが、他業種での役員経験がある場合、資格取得や講習会への参加、外部の専門家のサポートを受けられる体制の構築等によって、金融商品取引業に関する知識や経験を補完することで登録を受けることは可能です。
③役員経験は無いが、金融商品取引業者での管理職としての経験がある場合は、経営に関する資格取得やセミナー参加で知識や経験を補完することで登録を受けられる場合もあります。しかし、全く会社(自営業でも可)の経営経験も、金融商品取引業者での業務従事経験も無い方の場合は、登録を受けることが極めて困難となります。

○分析・助言担当者
 分析・助言担当者となる役員や使用人には、金融商品の価値等に関する知識や経験が求められます。
 また、登録の際には、以下の職務経験や能力が求められます。
①登録を予定している会社での助言対象金融商品に対する最低3年程度の実務経験が必要となります。
②金融商品取引業者での実務経験が無い場合でも、自身で投資助言対象金融商品への投資経験がある場合は登録を受けられる場合もあります。

○コンプライアンス担当者
 コンプライアンス担当者には、金融商品取引業及び金融商品取引法におけるコンプライアンスに関する知識や経験が求められます。
 また、登録の際には、以下の職務経験や能力が求められます。
①金融商品取引業におけるコンプライアンス担当者としての実務経験が最低3年程度必要となります(※2007年930日に施行された金融商品取引法以前のコンプライアンス担当者としての経験では知識・経験として基本的に認められません。従いまして、金融商品取引業者でコンプライアンス担当者として勤務経験のある方の採用を検討する際は、その方のコンプライアンス担当者としての勤務期間が2007年930日以前なのか以後なのかをよくご確認の上採用を行ってください)
②ただし、実務経験が3年未満の場合でも、弁護士として金融商品取引業関係の案件を扱った経験がある方や外務員資格を保有している方、業界団体や協会で実施されている各種研修の履修をされた方などは、登録審査の際にプラスに評価されるようです。

○内部監査担当者
 内部監査担当者には金融商品取引業における内部監査の知識や経験が求められます。
 また、登録の際には、以下の職務経験や能力が求められます。
①金融商品取引業者での監査役や内部監査担当者としての最低3年程度の実務経験が必要です。
②金融商品取引業者以外での監査役や内部監査担当者としての実務経験がある場合は、顧問弁護士等の外部のサポート体制を構築することで登録を受けられる場合があります。
③実務経験者を確保できない場合は、金融商品取引業の内部監査に関する知識や経験を有する外部の弁護士や行政書士に外部委託をすることで登録を受けることもできます。ただし、外部委託する場合でも、内部監査担当者は自社に置く必要があります。

※当事務所のブログに「投資助言・代理業に登録するための人的要件まとめ」の記事を掲載しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。

Q3.個人でも投資助言・代理業に登録することができますか?

A3.登録することができます。ただし、行おうとする業務の内容や登録希望者の業務経験にもよりますが、金融商品取引業及び関係法令の知識を有する使用人の雇用や業務の外部委託等で体制を整備する必要がある場合もあります。

Q4.投資助言・代理業への登録後業務を行わなかった場合どうなりますか?

A4.投資助言・代理業登録後、業務を行うことができるようになった日から3カ月以内に正当な理由がないにもかかわらず、業務を開始しないときは、登録を財務局等から取り消される場合があります。従って、業務を開始できない正当な理由が無い限り、投資助言・代理業務を開始する必要があります。

Q5.投資助言・代理業者の一般社団法人日本投資顧問業協会への加入は必須なのですか?

A5.必須ではありません。一般社団法人日本投資顧問業協会に加入するか否かは任意となります。一般社団法人日本投資顧問業協会の詳細につきましては、金融ADRについて解説した項目をご確認ください。

Q6.投資助言・代理業に登録後人的構成要件を満たせなくなった場合どうなるのでしょうか?

A6.過去には、「金融商品取引業を定格に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況」であることを理由に登録取消し処分を受けた事例もございます。従いまして、人的構成要件の確保につきましては、投資助言・代理業への登録時のみならず、登録後もこれを維持する必要があります。投資助言・代理業へのご登録をご検討の際も、役職員の退職等で人的構成要件を満たせなくなった場合を事前に想定した組織体制作りをご検討いただければと思います。ちなみに、役職員の退職等が生じた場合は、金融商品取引法に基づき「金融商品取引業者の役員又は政令で定める使用人の変更届出」等の該当する届出を提出期限内に届出る必要がありますのでご注意ください。

Q7.どうのような行為が投資助言・代理業に該当するのかについて教えてください。

A7.投資助言・代理業に関するご質問をいただく中で人的構成要件に関するご質問の並んで、よくいただくご質問としてご相談者様が現在行っている業務あるいは、行いたいと考えている業務が投資助言・代理業に該当するのかというご質問があります。
 ここでは、どのような行為が投資助言・代理業に該当するか、あるいはしないのかについてご紹介したいと思います。

※より具体的な個別事例についてご興味のある方は、コチラもご参照ください。

投資助言・代理業に該当する場合
①株式・債権、投資信託などの一般的な有価証券や有価証券指標は、有償で有価証券の価値等(値動き予想)の助言をするだけで投資助言・代理業に該当します。
→無償の場合は該当しませんが、このような場合でもブログやウェブサイト等において、広告主などから報酬を得ている場合は、投資助言・代理業に該当するとみなされる可能性がありますのでご注意ください。
②暗号資産については、売買ポイントにおける投資判断(売買等)を具体的にアドバイスした場合のみ規制対象となります。
→なお、いわゆるセキュリティートークン(※ブロックチェーンで管理された、デジタル化された有価証券のこと)に関しては、暗号資産ではなく電子記録移転権利として、有価証券と位置付けられているので、有価証券の価値等(値動き予想)の助言だけで、投資助言・代理業に該当することとなるためご注意ください。
③株式等の有価証券の価値等に対する言及、FX等のデリバティブ取引については、売買等の投資判断に関する言及を行うオンラインサロンを運営する場合は、投資助言・代理業に該当します。

投資助言・代理業に該当しない場合
①有価証券指標に関連しないFX等のデリバティブ取引では、値動き予想を配信しただけでは、投資助言・代理業の登録は原則不要です。
→あくまで、売買ポイントにおける投資判断(売買等)を具体的にアドバイスした場合は規制対象となり、登録が必要(※取引の内容及び時期についての判断の提供が投資助言・代理業ということになります)
②新聞、雑誌、書籍等の販売
→ただし、直接、投資助言代理業者に申し込まないと購入できないレポート等の販売等に当たっては、登録が必要となる場合があるのでご注意ください。
③投資分析ツール等のコンピュータソフトウェアの販売
→ただし、ソフトウェアの利用をしていく上で、販売業者等から継続的に投資情報等に係るデータの提供を受けるような場合には、登録が必要となることがあります。

Q8.投資助言・代理業と他の業務との兼業は可能ですか?

A8. 投資に関する助言の提供を主な業務とする投資助言・代理業は、その業務範囲が限られ、他の業務の実施による財産的基礎の悪化を防ぐべき必要性が相対的に高くないと考えられることから、他の業務との兼業を禁止されていません(金商法35条の2第1項)。
 しかし、兼業する他の業務に関して何らかの業務範囲規制が課せられている場合、その規制に服することとなります(金商法35条の2第2項)。
 加えて、公益に反すると認められる業務も行うことができません(金商法29条の4第1項1号ニ、52条1項1号)。

Q9.投資助言業の登録要件の緩和が検討されているそうですがどのような内容なのでしょうか?

A9.現在(2023年4月に本Qを掲載)、金融庁では、助言対象を絞った投資助言業(例:つみたてNISAやiDeCoにおける投資可能商品に限定)の登録要件の緩和が、必要な監督体制の整備と併せて検討される予定となっています(金融庁「金融審議会 市場制度ワーキング・グループ顧客本位タスクフォース中間報告(案)」2022年11月より引用)。
 上述の登録要件の緩和が行われれば、従来の投資助言業の登録要件を満たすことができない事業者様でも、将来的には、助言対象を絞った投資助言業への登録であれば可能となるかもしれません。

※投資助言・代理業の制度改正動向について詳細に知りたい方は金融庁ホームページもご確認ください。

Q10.外部の専門家の支援を受ければ、社内にコンプライアンス担当者を置かなくてもよいですか?

A10.弁護士等の外部の専門家の支援を受ける場合でも、社内にコンプライアンス担当者を置いていただく必要があります。つまり、社内に適切なコンプライアンス担当者がいないため、外部にコンプライアンス業務を全て外注するという方法では、投資助言・代理業に登録するための人的構成を満たすことができないということになります。
 ちなみに、このような場合に置かれる社内のコンプライアンス担当者も、全くコンプライアンス業務の実務経験が無い方ではなく、金融商品取引業者又は登録金融機関での実務経験のある方に担当者になっていただく必要がございます。

Q11.投資助言・代理業の業務を開始するためには営業保証金が必要だと聞きました詳細を教えて下さい

A11.投資助言・代理業の登録を受けた後、業務を開始するには、営業保証金500万円を主たる営業所の最寄りの供託所(法務局)へ供託する必要があり、供託後には、財務局・財務事務所に供託の届出をする必要がございます(金融商品取引法第31条の2、金融商品取引法施行令第15条の12)。
 ちなみに、営業保証金は、現金以外で供託することも可能です。具体的には、国債証券、地方債証券、政府保証債権、金融庁長官が指定した社債券その他の債権を営業補償金に充てることができます(金融商品取引法第31条の2、金融商品取引業等に関する内閣府令第29条)。
 なお、有価証券の種類によっては、500万円を超える額面金額が必要となる場合があるため供託する前に事前に確認していただく必要がございます(金融商品取引業等に関する内閣府令第30条)。

Q12.金融経済教育推進機構の設立が決定されましたが投資助言・代理業への影響を教えてください

A12.金融経済教育推進機構(J-FLEC)は、中立的な立場で投資者にアドバイスする認定アドバイザー(J-FLEC認定アドバイザー)の認定をその役割の一つとしています。
 この認定アドバイザーの認定基準は、事前の説明資料として金融庁が示した案とほぼ同じく、「家計管理、生活設計、NISA・iDeCo等の資産形成制度、金融商品・サービス、消費生活相談等に関するアドバイスを提供するための有益な資格(CFP、AFP、FP技能検定2級以上、外務員(1種)、弁護士等の士業、消費者生活相談員など)及び一定の業務経験を有する」者等となりました。
 投資助言・代理業者については、代理業を行っている事業者に勤務している者については、認定されないこととなりました。
 J-FLEC認定アドバイザーの具体的な認定基準やあるバイザーになることのメリットとデメリットについては、当事務所のブログに「金融経済教育認定アドバイザー(J-FLEC認定アドバイザー)の認定要件とJ-FLEC認定アドバイザーになることのメリットとデメリット」の記事を掲載しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。

※当事務所のブログに以前執筆した「金融経済教育推進機構と認定アドバイザーの条件について」の記事も掲載しておりますので、ご興味のある方は併せてご覧ください。

Q13.投資助言と金融商品の販売を同時に行いたいと考えているのですが可能でしょうか?

A13.投資助言と金融商品の販売の二つの業務を同時に行うことは制度的には可能ですが、現実問題としては非常に困難であると言わざるをえません。
 例えば、IFA(金融商品仲介業者)として金融商品を販売している事業者が同時に投資助言・代理業にも登録を希望する場合、投資助言・代理業に登録するためには、高度な弊害防止措置を構築するために内部の人員確保や外部の専門家の支援が必要となる場合が多く、そのための追加のコストが永続的に発生することになります。
 こうしたコスト面を考慮すると、投資助言か金融商品の販売のいずれかに絞った方がビジネス的には合理的な場合が多いと考えられます。

※投資助言・代理業と他の業務の兼業については、Q8もご確認ください。

Q14.投資スクール等でFX取引についての講義を行う際、投資助言・代理業に該当しないための注意点

A14.FX取引についての講義を投資スクール等で行う際、「どのような行為が投資助言・代理業に該当するのか、又は該当しないのか」というご質問をしばしばいただいております。このご質問に対する回答は、Q7とも関連しますが、簡単にまとめますと次のようになります。
 まず、前提として投資助言・代理業に該当するかは、具体的にどのような言い方をするかのみで判断されるわけではなく、その行為の全体的な文脈を見て判断されます。
 以下に投資助言・代理業に登録が必要ないと考えられる行為と登録の必要があると考えられる行為をまとめてみました。

◇投資助言・代理業への登録が必要ないと考えられる行為
・FX取引の概要についての一般的な説明
・関連する経済指標の見方と読み方の説明
・講義又は通信教育の形式でのFXの基礎知識(ローソク足の見方、チャートの見方と読み方、トレードシステムの使い方、注文方法等)の教授

◇投資助言・代理業への登録が必要であると考えられる行為
・受講生がトレードを行う際、売買ポイント等の具体的な助言を提供する
・トレード結果を元にして講師が売買ポイント等の改善策等を助言する

Q15.同一人物が複数の職務を兼務する際の注意点について教えてください

A15.例えば、コンプライアンス担当者と内部監査担当者を同一人物が兼務する場合、当該人物がコンプライアンス担当者としての実務経験はあるものの、内部監査担当者としての実務経験が無い場合、当該人物を内部監査担当者とすることはできません。
 また、Q2とも関連しますが、「当該人物がコンプライアンス担当者としての実務経験1.5年と内部監査担当者としての実務経験が1.5年ある場合、併せて3年の実務経験があるのだから、当該人物をコンプライアンス担当者兼内部監査担当者にすることはできないのだろうか」と考える方もおられるかもしれませんが、このような場合、それぞれの実務経験が3年未満であるため、当該人物はいずれの実務経験とも満たしているとは考えられず、コンプライアンス担当者にすることも、内部監査担当者にすることも困難であると考えられます(このような事例では、外部専門家からの支援を受けることを条件に当該人物でもそれぞれの担当者にすることができる可能性はあります)。
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